卓話


ジャパンラグビーリーグワンの挑戦

2024年6月5日(水)

(株)ロッテホールディングス
代表取締役社長 玉塚元一君


 先日の5月26日の国立競技場でのプレーオフ決勝戦が終わり、リーグワンの3シーズン目が無事終了しました。国立競技場で行われた、東芝ブレイブルーパス東京と埼玉パナソニックワイルドナイツの決勝戦には、5万6千を超えるお客様に来場いただきました。ラグビーのリーグは以前にはトップリーグという名称でラグビー日本協会傘下のもと、社会人リーグとして行われていましたが、3年前の2022年からジャパンラグビーリーグワンというフォーマットに変更して、協会から独立したリーグとしての運営を行っております。

 トップリーグ時代はシーズン通しての総観客数が50万を超えることができずにおりましたが、本シーズンは115万人のお客様に来場していただきました。現在のリーグワンには世界各国の代表レベルの選手が約30名参画しております。昨年フランスでのラグビーワールドカップの南アフリカとニュージーランド決勝戦出場メンバーの約半分の選手がリーグワンでプレーしており、世界のトッププレイヤーと日本の選手が相互に切磋琢磨し、日本ラグビーのレベルを引き上げる状況になっています。

 現在、ラグビーリーグワンは様々なステークホルダーの方々に支えられて成り立っています。ひとつはリーグワンを応援して下さるファンの皆さま。そして各チームの経営を行っているチームスタッフの皆さま。チームの後ろで財政を支える母体企業の皆さま、スポンサー企業の皆さま。母体企業の経営レベルの方々とお話をしていると、ラグビーを応援して頂いている理由として、興行としての魅力に加え、ラグビーが持つ文化的・教育的側面に共鳴して応援しているというご意見を良く聞きます。

 ラグビーにはノーサイドの精神や、All for one, one for all、ワンチームといった精神、あるいは自己犠牲といった精神があります。ワールドラグビーではラグビー憲章としてINTEGRITY、PASSION、SOLIDARITY、DISCIPLINE、RESPECT(品位、情熱、結束、規律、尊重)を掲げています。ただ単に試合に勝てばよいという事でなく、チームメンバーそれぞれの役割を尊重し、チームとして最高のパフォーマンスをあげるという姿勢、そしてあれだけ激しい試合にもかかわらず、ノーサイドの後にはお互いをたたえあう姿勢、こういったものがラグビーの価値として存在しています。

 私自身は慶應義塾大学の体育会ラグビー部に入ってラグビーをやっておりました。慶應大学のラグビーにも様々な重要な教えがあります。そのひとつは「花となるより根となろう」という言葉です。最終的にウィングの選手が華麗なるトライを収める陰には、必死にスクラムを組んでボールを出すプロップという選手の存在があります。そういった陰でチームを支える選手に最大のリスペクトを持つことが非常に重要な精神となっています。

 これらの考え方は企業経営にも通じる非常に重要な精神性であって、この精神性に共感を示した方々がラグビーそしてリーグワンを高いレベルでご支援いただいております。リーグワンを通して益々このラグビーの素晴らしい価値観と精神性を日本に広めていきたいと考えております。

 そして今、日本のリーグワンは世界から高い注目を集めています。世界では南半球のスーパーラグビー、イングランドのプレミアシップ、フランスのトップ14といったリーグがありますが、特に南半球のスーパーラグビーは経営的にも厳しい状況が続いており、ジャパンラグビーリーグワンを中心とした今後成長著しいアジアの中でのアジア最強のリーグとして、そして世界最強のリーグとして発展していく可能性を強く感じております。

 リーグワンは先月終了しましたが、今月からエディー・ジョーンズ率いる日本代表の試合が始まります。日本代表はハイパフォーマンスユニオンというイングランド、フランス、ニュージーランド等々と同じ最上位のカテゴリーで、本年度は5試合が予定されています。6月22日にはイングランドとの初戦が国立競技場で行われます。是非皆さま、日本のラグビー、リーグワンの応援を宜しくお願い致します。


金融犯罪の現状について

2024年6月5日(水)

(株)SMBC信託銀行
取締役会長 荻野浩三君


 本日は連日ニュースに取り上げられている「金融犯罪の現状について」話をします。高齢者をターゲットとした振込め詐欺、茲許のネット環境を悪用したフィッシング詐欺等、大きな社会問題となっており、私共金融業界にとってもその対応については日々頭を痛めているところです。

 個人を対象とした金融犯罪は大きく分けて、銀行口座に対する不正取引と、クレジット、信販系の不正使用の二つがございます。警察庁の発表によれば、昨年1年で銀行口座関連の被害額は約450億円、クレジットカード関連では540億円、年間の被害額は判明しているだけで1000億円規模となっています。

 銀行関連で多いのは特殊詐欺です。古典的なものではいわゆるオレオレ詐欺やキャッシュカード詐欺、架空料金請求詐欺等、犯人が高齢者等に電話でもっともらしい話を持ち掛けお金を詐取するものです。

 また、最近急増しているのがSNSを利用した投資詐欺やロマンス詐欺です。投資詐欺は著名人を勝手にサイト上に登場させ、その投資が間違いないものと信じ込ませ、多額の資金を振り込ませる手口です。昨年1年で1600件、280億円の被害がありました。

 また、ロマンス詐欺はSNS等で外国人、海外居住者を名乗り、相手に恋愛感情を抱かせ、必要な資金を送金させる手口で、昨年だけで1600件、180億円弱の被害が発生しています。皆さんにご留意頂きたいことは、詐欺の場合は本人が自らの意思で送金、引き出しを行っているため、金融機関は原則被害額を補償対象にしていないということです。

 金融機関としても、この手の犯罪の未然防止のため、店頭、ATMでの多額な送金、引き出しには上限を設け、またその目的等を聴取するなどの対応を取っていますが、お客様がその説得を聞き入れず、どうしても自分の意思として送金、引き出しをしたいと主張されると、止めることもできず、頭の痛い問題になっています。

 次にクレジットカード関連の不正利用についてです。昨年1年間の被害総額は540億円、ここ10年で5倍に増加しています。特に激増しているのがフィッシング詐欺とクレジットマスターという犯罪です。

 フィッシング詐欺は、実在する組織を装ってネット上からユーザーネーム、パスワード、カード番号等の個人情報を詐取するものです。対策協議会の纏めによれば、その件数は報告ベースだけでも月10万件以上、悪用された偽のブランド名、サイトも100を超えています。最近では国税庁や電力会社を装い、料金が未納、至急手続きをというようなものも多くなっているようです。

 次にクレジットマスターです。犯罪者が一方的にクレジットカード番号の規則性を悪用しカード所有者の番号を割り出す手口です。フィッシングはカード保有者自身が偽メールで騙されて番号を入力してしまうのに対して、クレジットマスターはカード保有者が注意のしようがありません。気が付いたら身に覚えのない請求がきてしまう、あるいは金額が少額の場合は、それにさえ気が付かないといったケースもあります。なお、クレジット系の被害に対しては原則、カード会社ないしは加盟店が補償を行っています。

 これらの犯罪に対して我々は何に気を付けたらいいのか、残念ながらこれだけやっておけば大丈夫というのもないのが現状です。ありきたりですが、SNS等の勧誘には乗らない、不審な電話には出ない、あるいは、常に留守電設定をしておく、身に覚えのないメールの添付ファイルは絶対にクリックせずに削除することが基本です。クレジットに関しては利用実績の配信サービスをチェックし、身の覚えのない利用がないかを良く見ておくことも重要だと思います。

 ネットを悪用した金融犯罪は増加の一途です。対策を講じても、それを破る新たな手口との闘いになっています。皆さんも日頃から十分注意頂くようお願いします。ご清聴ありがとうございました。