卓話


インドと日本の学術と産業の協業の推進

2024年3月27日(水)

インドSRMグループ
CSO カンナッパン・ジャナキラマン氏


 最初に、インドについて紹介します。
 インドには28の州と8つの連邦直轄領があります。各州それぞれの言語を喋り、独自の文化、料理、歴史があり、それぞれを国と捉えてもよいぐらいです。その上で、インドは一つの国として動いています。

 風景も、ヒマラヤはもちろん、一番南のケララ州の奥地は熱帯でビーチもたくさんあります。ムンバイのような大都市、ラージャスタン州の砂漠もあり、旅行に一番いい国だと思います。

 豊かな文化があります。ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、シーク教、仏教、ジャイナ教の伝統、芸術、言語、宗教の豊かな融合がインドの活気に満ちた文化を定義しています。様々な宗教があっても、みんな同じ国の人間として受け入れています。

 スポーツもあります。特にヨガは何千年も前にインドから始まり、日本をはじめ世界に普及しています。心身にいい影響を与え、6月21日は国連が定めたヨガデーになっています。

 毎月、各州各地でカラフルなお祭りが行われています。神様にまつわるものがある他、花火フェスティバルもあり、お祭りは私達の生活に根ざしています。

 そして、インドの文化で一番大事なものは家族の絆です。昔から多くの世代が一緒に住んできました。強い絆と共同体意識があり、年長者を敬う、親戚の密なネットワークがありますが、近年は、核家族化が進んでいます。

 料理もインドでは大事なものです。日本ではカレーが有名ですが、各州にいろいろな料理があり、スパイスがたくさんあるほか、甘いものも多数あります。

 インドの人口は14億人を超え世界一になりました。人口の65%が35歳未満と若者の比率がとても高い国です。若者が多いことは良いことも課題もたくさんあると思いますが、インドを助けてくれると思います。

 そして、多様性です。インド・イコール・ダイバーシティです。多様な民族、100以上の言語があり、豊かな一体感のタペストリーを創り出しています。「Unity in Diversity(多様性の中の団結)」はインドのモットーです。

 インドはGDP、外貨準備高ともに着実に増えて、経済成長しています。インド政府は、インドをイノベーションのハブにするため、スタートアップを対象にした補助金などで支援しています。毎年、製造業とIT関係のスタートアップが増え、就職機会も増えています。

 宇宙プログラムでは、インド宇宙研究機関(ISRO)が、1回のミッションで104基の人工衛星を打ち上げ、世界記録を樹立しました。ローコストでハイクオリティです。2014年以降、今まで52回のロケットミッションを成功させています。

 インドには「お客様は神様」という日本と似た言葉「Aatithi Devo Bhavah」があります。皆さん、ぜひインドに来て、伝統的なおもてなしを体験してください。

 インドと日本には文化的に昔から似たところがたくさんあります。年長者と家族を尊重すること、教育に力を入れること、しつけ、精神的な伝統、自然への愛、アートによる表現。仏像は両国にもたくさんあります。

 私達は日本と一緒にやることがたくさんあると思っています。日本はイノベーションのパイオニアでありロボティクスとオートメーションの世界的リーダーで、驚異的な効率で製造業に革命を起こしました。また、品質と精度へのこだわりがあり、日本の製品とエンジニアリングは、その卓越性で有名です。そして、強力な投資能力を持ち、共同事業を支援するための重要なリソースを保有しています。

 インドの強みを紹介します。
 インドには技術的な能力の高い若い労働力があり、政府からの支援もあるため、日本の半分ぐらいのコストで良い品質のもの作りができます。

 日本とインドの政府間では協力覚書が締結され、5Gなど情報通信技術、光海底ケーブル、スマートシティ構想などの技術開発での協力や、サイバーセキュリティーやAI=人工知能の分野での人材育成、両国のスタートアップなど企業同士の対話を進めていくことになっています。

 日本企業のインドへの投資も進んでいます。インフラをメインに様々な投資がなされており、ドリームインキュベータ、セガサミー、ソフトバンクなどがインドのスタートアップ育成のための投資を行っています。既存の日系企業ではスズキがグジャラート州に第二工場を建設し、セゾンカード、三菱電機など、多くの企業がビジネスの強化・拡大を進めています。

 学術分野でも両国間で素晴らしいプログラムが進んでいます。技能実習制度の下で2023年11月末現在、1223名のインド人インターンを日本に派遣しています。学術交流ではAI、データサイエンス、機械学習の分野の学生交換プログラム、産業・医療等におけるAI応用を中心とした共同研究、教員交流や客員教授による専門性の共有などが行われています。

 インドの大学においては日本語の教育を行い、日本との間の国際交流を行っています。国境を越えた機会の拡大、日本の製造業、医療、IT部門におけるインド人労働者のための熟練労働プログラム、インドの成長分野における日本人エンジニアやIT専門家への取り組み、異文化間のビジネス感覚を育む合弁事業の創出など、両国双方にさまざまなメリットが生まれるグローバル人材の育成という目的を掲げています。さらには、ビザと入国手続きの合理化も進んでいます。

 現在、日本在住インド人で最も多いのはエンジニアや特定技能を持つ人で、次に学生、仕事をしている人で、それはさまざまな業界にいます。

 私達SRMグループについて紹介します。SRMグループは財閥で、大学と幅広い業界に企業を持っています。

 大学は重要な事業の一つで、4大学8キャンパスで約5万人の学生が学んでいます。その他、IT会社、グローバルコンサルティング会社、テレビ局、タミル語の24時間ライブニュースチャンネルも持っており、病院、ホテル、バス、運送会社、建設分野の企業なども持ち、日本の他の国でも合弁会社を持っています。

 創始者はPサティヤナラヤナン博士です。彼が米国で勉強してIT会社を作り、グループ企業も作りました。本来であれば、本日こちらでお話しする予定でしたが、来ることができなくなり、大変申し訳ありません。

 SRMグループが生まれたのは52年前です。SRMグループは、大学と会社の両方を持っているという、インドの他の財閥にはない多様な事業展開と経験を持っています。研究開発やインド市場に展開したい顧客向けサポート経験もありますので、日本の企業の皆様には様々なベネフィットを提供できると思います。

 SRM大学は日本志向のバイリンガルエンジニアの育成、研究開発協力、インド市場とグローバル展開のための日本人エンジニアのトレーニングにおける20年以上の経験、日本での20年以上の経験と日本志向の経営、インド政府からの支援を得てきた経験があります。

 例えば、インド人材をインターンや新卒採用することに関してサポートできます。研究開発の例では、過去にトヨタテクノロジーズインスティテュート、NECとの協力を行い、現在、ソニー、インテル、ヤクルトとも行っています。

 国際交流は早稲田大学、静岡大学、岡山大学と行っております。

 今インドは「メイク・イン・インディア」政策の下で製造国を目指しているため、SRM大学内に日本製品開発のためのR&Dセンターを設立しました。インド市場を含むグローバル展開に立ち向かう日本人スタッフの育成も行えます。

 人材育成は、SRM大学の重要なポイントです。我々は学生たちに日本人教師による日本語や日本文化の教育を行い、日本向けに人を育てています。インターンシップ・就職プログラム、技術開発プログラム、インキュベーションセンターへのアクセスと育成、日本連携センター(CJC)による学術連携、交換留学・セメスター留学プログラムなどを行っています。

 SRMグループは、日本企業との協業による日本およびインドでの事業拡大に関心を持っています。その方法の一つが、インドと日本における日系企業との合弁会社の設立で、これまでに2件のパートナーシップを締結しました。

 トップランクの大学における日本人スタッフのための住宅研修プログラム、SRM 大学とSRM Techの融合によるR&D製品開発、その他、さまざまなコラボレーションの機会があります。

 日本企業のインド進出やグローバル市場拡大に向けて提携できることを楽しみにしています。


      ※2024年3月27日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。