卓話


ロータリー平和センタープログラムとは?

2023年11月1日(水)

第2580地区ロータリー平和フェローシップ委員会
委員長  比留間孝司氏(東京武蔵村山RC)


 ロータリー平和センタープログラムは、ロータリー財団が世界各地の大学と提携して7つの平和センターを設置し、ロータリーの重点分野の一つ、平和構築と紛争予防に貢献する人材育成を図る奨学金プログラムです。補助金プログラム、ポリオプラスと並ぶ、財団の主要なプログラムの一つです。

 提携大学の一つが、東京都三鷹市にある国際キリスト教大学(ICU)です。
 このプログラムに我々ロータリアンは、ロータリー財団への寄付を中心とした資金支援と人的な関わりをしています。

 ICUのある三鷹市が含まれる第2750地区と私ども第2580地区の東京の2地区、そして、神奈川県にある2地区、千葉県にある1地区、そして埼玉県にある1地区、この6地区でホストエリアを構成しています。そして、ICU平和センターとの間でホストエリア連絡協議会を形成し、この事業が円滑に進むように日々取り組んでいます。

 ホストエリア連絡協議会では、この事業をご理解いただくための動画を作成しています。最新バージョンが当2580地区のwebサイトのトップページの一番下に貼り付けてあります。これからそれをご覧いただき、その後、現況を報告いたします。

【動画より】
 ロータリー平和センタープログラムは、2002年に始動しました。国際ロータリーの創設者ポール・ハリス氏は1868年に生まれ、1947年に逝去されました。この間、2度の不幸な世界大戦を経験した氏は平和の大事さ、そして難しさを痛感しました。氏の没後50周年を記念して、ロータリーで平和大学を作る構想が生まれました。平和学に優れた大学の中にロータリー平和センターを設け、世界で平和に貢献したいと願い活動する方々を迎え入れ、スキルを高め、再び世に出していく事業です。2023年時点で、1600名を超える平和フェローが世界各地で活動しています。

 毎年世界で、修士号取得プログラムに50名、3ヶ月の専門能力開発修了証プログラムが年2回40名ずつ計80名、130名の平和のために行動する未来の指導者が厳しい選考を勝ち抜き選ばれます。

 毎年1000名を超える申請があり、書類選考を経て、10月に各平和センター長が財団本部エバンストンに集まって最終候補者を決め、各大学の正式合格を受けた者のみが平和フェローとして選ばれます。

 修士号取得プログラムは1人当たり2年間で平均8万ドル、専門能力開発修了証プログラムは1人当たり3ヶ月で平均1万1000ドルがかかり、全て世界各地のロータリアン、地区、その他支援者からの寄付で賄われています。

 日本には修士号プログラムを提供するアジアで唯一の平和センターがICUにあり、ここで学ぶ毎年10名の平和フェローを、東京、神奈川、埼玉、千葉の6地区から成るホストエリア体制で支援します。

 毎年8月初め、来日した平和フェロー10名とホストカウンセラーの初顔合わせ会が開催され、9月には正式なオリエンテーションが学士会館で行われます。平和フェローとしての心構えとロータリーとの密接な関係での事業であることを再認識してもらい、2年間の抱負を語ってもらいます。

 翌年3月には、平和フェローは広島研修旅行に参加します。原爆ドーム訪問や被爆体験を被爆者から直接聞くほか、ロータリアンとの食事会が行われます。この旅行は、平和構築への思いを新たにする貴重な機会となっています。

 ホストエリアでは、毎年5月にいろいろな日本文化に触れる交流会が企画され、ロータリアンとの親睦を深めています。

 1年が過ぎ、修士論文に忙しくなる2年目を迎えます。
 2年目の夏には、自分の研究テーマに関連した最低2ヶ月間の海外インターンシップが行われます。そこで収集したデータを基に修士論文の作成に入ります。

 2年間の研究の集大成として、フェローたちの修士論文発表会にも当たる年次セミナーが2年目の6月に開催されます。多くのロータリアン、1年目の後輩フェローおよび関係者が集まり、修了記念パーティーをロータリーが主催します。

 以上が、ICU平和センターで学ぶフェローの2年間の大きな流れです。特に行事の費用の一部は日本のロータリアン全員から集める年間15円の寄付金、130万円相当で賄われます。

 このプログラムには、日本のロータリアンから多くの寄付がなされる一方、これまでに平和フェローになった日本人の数は38名と全体の3%に過ぎません。ホストエリア連絡協議会も、日本人の平和フェローを増やすことを活動の第2の柱としています。

 我が国からもっと多くの平和フェローを育てるべく、日本のNPO、NGOや国連関連機関などにも働きかけています。毎年の日本からの申請を10名を超える数字にし、各地区およびロータリアンの方々にスポンサーシップやクラブに手を挙げていただけるようなプログラムに育つことを強く願っています。


 <ホストエリアコーディネーター・水野功氏からのメッセージ>
 ぜひ皆様方にはこの活動を多く知っていただきたい。東京の三鷹市にあるため、北海道、東北、九州、四国の方々への周知ができていません。我々協議会はアンバサダーを設置し、卓話の機会があれば講師として派遣します。同様に平和フェローについてもご要請があれば学業に支障のない範囲内で派遣しますので、ホストエリア連絡協議会までご連絡いただきたいと思います。

 世界情勢は大変混沌としており、平和の大事さを身近に感じる時代となりました。そのような中で、ピースビルダーとしての平和フェローの役割は大変重要になっています。これからも1人でも多くのピースビルダーを輩出できますよう、また、日本からの奨学生もぜひ1人でも多く輩出できますよう、各地区のご支援、ご協力をお願いいたします。
【動画終了】

 ICU平和フェローの現況です。第22期の今年度は1名欠員があり、定員10名に対し9名の受け入れです。出身国別ではアメリカ合衆国4名、アフリカはタンザニア、ナイジェリア、リベリアの3ヶ国から各1名、アフガニスタン、ポーランドから各1名となっています。

 当地区はこのうち、タンザニア出身のウベント・チティンカさんとアメリカ出身のグレイス・コルビーさんのカウンセラーを務めています。

 ウベントさんはインドの大学で経営学学士を取得し、多様なグローバル・トレーニングを積んだキャリアを持っています。タンザニアの民間シンクタンク平和紛争問題研究所やグローバル平和財団などでジェンダーアドバイザーを務め、女性に対する性暴力防止の団体を自ら設立しました。国連とEUの提携する女性に対する暴力防止のプロジェクトメンバーにも任命されています。芸術分野にも造詣があり、女性アーティスト支援など女性のエンパワーメントの側面から平和構築に奮闘すべく、さらに学びを深めようとしています。

 グレイスさんは、大学在学中から肥料のサステナビリティ、地域住民への安全で安価な食品供給プロセスなどの研究と実践活動に取り組んできました。卒業後は、ザンビアで平和推進のためのボランティア活動に従事し、その内容は食料安全保障の確保、所得の公平性の実現、農村での企業スキルの向上を目的とした養殖環境の整備など多岐にわたります。こうした知見を生かして、ジェンダー平等や公正な食糧の生産と供給についての学びを深めています。

 このように平和フェローは非常に高度な学力を持ち、実務経験も豊富な大人で、カウンセラーの役割はインターアクトや青少年交換などのプログラムとは異なります。

 米山奨学生は、いわゆる世話クラブ制度があり、月1回以上、例会に出席し概況報告すると同時にそこで奨学金を受け取ることが求められますが、このプログラムの性質上そこまでを求める形にはなっていません。残念ながら、一般ロータリアンと接点が持ちにくい現状です。

 そのため、平和フェローを地区大会などに招きたいと思っていますし、皆様からも呼んでいただければと思っています。イベントで顔を見かけたら、ぜひ声をかけていただき、どんな気持ちで勉強しているのか、将来に向けた目標などを聞く機会を持っていただけたらありがたいと思います。

 私も平和フェローの真摯な姿勢と人間的な魅力に触れるにつれ、将来、様々な分野で活躍していく人材を育成する素晴らしいプログラムだと思いを新たにしているところです。 最後に、皆様に寄付のお願いです。

 今年度地区ロータリー財団委員会では寄付目標を提示させていただきました。総額でロータリアンお1人当たり230ドルです。既に地区研修・協議会の際にご案内の通り総額も内訳も最終的には各クラブでご判断いただくものですが、基準としては、年次基金、つまり各種補助金プロジェクトの原資になる部分を150ドル、ポリオプラスに30ドル、事業の基盤を固めるための恒久基金は30ドル、そしてこの平和センタープログラムのために1人20ドル以上のご寄付を改めてお願いしたく存じます。

 このように基金区分を明確にすることによって、当地区の寄付金額は非常に上がりました。毎年、特殊要因がない限りは、ここ何年では、第2580地区では毎年70万ドル前後の総額実績を作れています。それまでは50万ドル前半が常でした。この功績は、貴クラブの水野正人パストガバナーが財団委員長を務めたときにそうしたことをお話しされ、そこからここまでの形になってきたと思っています。

 東京ロータリークラブの皆様におかれましては、4つの基金区分をバランスよくご寄付いただき、ぜひ平和フェロー基金へは、お1人当たり20ドルの寄付をミニマムラインと捉えていただきたい。その成果が、フェローたちの素晴らしい将来を図る重要な基盤になります。


    ※2023年11月1日(水)の卓話をクラブ会報委員が纏めたものです。