卓話


吹奏楽が青少年育成にもたらすインパクト

2024年4月10日<(水)

救世軍
司令官 モーリス, スティーブン君


 救世軍のスティーブン・モーリスです。米国でも30年間ロータリアンをしてきましたが、父の足跡を辿るように東京ロータリークラブ会員として奉仕できることは光栄です。

 救世軍の起源は1865年、産業革命期の英国ロンドンの貧困地域での働きに遡ります。当時、多くの企業が従業員を仕事に集中させ産業を継続させるため、吹奏楽団を結成し、チームワークの形成と仕事のはけ口の機会を与えました。彼らを忙しくさせて、政治的活動をさせないためでもありました。

 救世軍はそれら演奏者を募り、吹奏楽をさらに楽しみ、礼拝の一部として演奏を喜ぶ機会を作りました。以来、世界で吹奏楽の育成と普及を行っています。

 幼少期からの音楽性の手ほどきは青少年の豊かな成長に役立つと世界中の研究から明らかです。音楽への情熱が想像力、健全な自信、異文化への寛容さを高めます。音楽はコミュニケーションの壁を越える言語です。

 また、どの文化圏でも音楽に親しむ生徒は音楽に興味のない生徒より高い学力を持つとの研究結果もあります。子どもの楽器演奏の脳の発達への影響の研究では、運動技能の発達だけでなく、感情や行動の成熟に作用する結果が出ています。記憶力や認知能力、定数と話し言葉の識別能力等の低下予防にも作用し、将来のアルツハイマー病発症率の減少につながる説もあります。これは、子ども時代の音楽の訓練と成人後も継続することについて、非常に正当な理由となります。

 音楽に費やした時間と現在の個人的充実感のレベルは比例すると言えるかもしれません。単に演奏方法を学ぶ以上のものが与えられます。また、楽器演奏者には高い自己肯定感、低い自殺率、うつ病等への高い対処能力という傾向があります。

 私の娘には文字を読む際に単語を音読できないという学習障害がありました。しかし、高校で声楽を始め、トップグループに入る決意をし、音楽理論を履修して音楽に熟達することで、他の学習分野で困難だったことからも解き放たれ、現在は大学院に在籍するに至っています。私はこの経験から、音楽を愛する体験を通じた青少年の育成にさらに関わりたいとの願いを持ちました。

 今年2月、救世軍は神保町の救世軍ホールでのジャパン・ブラスバンド・アンサンブル・ナショナル・チャンピオンシップ全国大会開催に協力し、中学生から社会人まで大小のアンサンブルが素晴らしい演奏を披露し、審査と奨励を受けました。

 世界のトップミュージシャンには救世軍のバンドで最初の音楽訓練を受けた人々がいます。シカゴ交響楽団、ニューヨーク交響楽団の主席奏者や世界中の軍楽隊員等です。

 励ましの言葉を贈ります。子どもの頃自己成長の一環で楽器を習っていた方は、大人になってもその情熱を絶やさないでください。その情熱のゆえに、今の皆さんがあるのです。自信と新しいことを学ぶことへの興味が刺激的な冒険に導いたはずです。

 来月、私の息子は大学のトランペット演奏専攻を修了し、プロになる予定です。音楽は家族、息子の人生に大きな影響を与え、クラシック音楽好きの少年がプロになるのです。

 私たちが新しいことを学ぶことへの意欲を失わないようにと願います。何ものにも代えがたい豊かさを人生に与えてくれます。そして、音楽への情熱は魂を揺さぶり、他者との意味深いつながりを築きます。音楽のポジティブなインパクトが多感な青少年に失われないようにと願います。私たちには次世代が音楽に関心を持てるよう、地域社会からこの大切なものが失われないように尽力する必要があります。

 救世軍は今後も青少年の音楽活動を促進し、音楽が広く社会に与えるインパクトを次世代に伝えてまいります。また、救世軍ジャパン・スタッフ・バンドは、次のクリスマス・パーティー等のお祝いを華やかに彩るお手伝いができます。

 私たち一人ひとりが楽器を手に取り、音楽の喜びを地域社会の中心に据える役割を果たせるように願い、結びといたします。